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2009年10月

2009年10月31日 (土)

若冲の十牛図

東北道の栃木ICを降りて、佐野市葛生へ。

セメントと石灰製造のプラントが向こう見える

場所に佐野市立吉澤記念美術館はあった。

最終日の開館数分前だが、団体客を除いて

来場の方は少ない。

                                                   お目当ては、今年重要文化財に指定された

「菜蟲譜」。

植物と虫達を巻物の中に描きこんだもので

あるが、その雰囲気はいたっておとなしい。

金比羅さん奥書院で観た「花丸図」や、

2日前に上野で観た「動植綵絵」のような

壮麗さや精密さ、そして彩りのきらびやかさ

はない。

しかし、そこには、野菜や虫たちがありのままに

生きている。

飾ることもなく、他者を意識することもなく、

そのままに素直に、一生懸命生きている。

                                                 観終わると、遊びのコーナーがあって、

置かれている色鉛筆やクーピーで、

「菜蟲譜」の一部を模写できる企画があった。

私が選んだ題材は、蓑虫くん。

目立たず、ひっそりと

(鳥の襲撃を考えれば当たり前だが)

そこにいた。

ぴんと張った糸の下で、ただひたすら眠って

いるのだ。

その凛とした姿は、上野で観た一本足の小鳥

と重なる。

それはまた、深草の石峰寺の門前で

晩年をひっそりと、しかし作画は旺盛にこなした

若冲翁の生きざまとも重なるのだ。

                                                        今回の展示のなかに、狩野探幽の十牛図があった。

                                                「菜蟲譜」は。ただの生き物の写生画ではなく、

いかにも若冲らしい「十牛図」なのである。

                                                 それは、今これを書きながら飲んでいる、

静岡の「開運」さんのひやおろし(*1)の味のように

枯淡であるが、とても深い。

                                                     (*1)ひやづめ純米 山田錦

  精米歩合55% 土井酒造場

上野の山での再会

10/23(金)は、上野の東国博にて。

10/25(日)は、栃木県佐野市の吉澤美術館にて、

若冲。

                                                 まずは、上野。

動植綵絵は3年前の三の丸、

2年前の相国寺以来。

今出川では、凄まじい熱気の中、

作品に接近するだけで一苦労したが、

今回はそこまででもない。

                                                今回、全30幅の中で一番きになったのは、

「薔薇小禽図」。

ピンクとホワイトの薔薇の花が咲き乱れる中、

一羽の小鳥が片足で立っている。

尾をピンと垂直に跳ね上げて、

凛として一本足で立っている。

しかし、その目は少し笑っているかのようにも、

一本足で立っていることを、どんなもんだいと

少し自慢げのようにも見える。

私が若冲の画が好きなのは、

このユーモアと可愛げなのだ。

金比羅で観た「若冲燕」を思い出した。

                                                    とはいえ、何かが物足りない。

そう。本来は、この動植物達と一体であるべき

「釈迦三尊像」である。

先に感じた熱気の違いはそこにもあったのかも

しれぬ。

                                                   ただ、三尊はいらっしゃらなかったものの、

今回は、「旭日鳳凰図」を間近でゆっくりと

堪能できたのがよかった。

限りなく精密、しっとりと妖艶。

お決まりの朱色だけでなく、

羽のエメラルドグリーンが美しい。

                                                 もちろん、動植綵絵の「老松白鳳図」の白さ極まる

鳳凰もよいが、極彩色のこの鳳凰も素晴らしい。

滋賀で見てきた「象と鯨図屏風」の大胆さとは

完全に対極にある緻密さ、そして、

その落差激しい両方の画を巧みに描く若冲の筆に、

言葉もなく、ただただ見入っているばかりであった。

                                                佐野市の若冲は記事を改めて。

2009年10月12日 (月)

今年のひやおろし(その2)

ひやおろしが空いてきたので、感想を記しておく。

まずは、練馬の松澤酒店さんで頂いた「志太泉」。

(純米原酒、山田錦、精米歩合100%、日本酒度+3.0%、

酸度1.4)

静岡県藤枝市の酒蔵である。

オレンジ色のラベルに堂々たる「志太泉」と言う

文字が気に入った。

蔵元さんが最大の財産は瀬戸川の仕込み水

というだけあって、味ににごりがない。

そして、独特のとろみ、

ワインで言うところの、ボディの強さがある。

酸味と甘さのバランスがよく、

特に嫌味のない甘さが旨い。

包容力もある。

久しぶりの「志太泉」には、

相当高い点数を付けたい。

堂々たるラベルに偽りはなかった。

                                                  お次は、恵比寿の紀伊国屋酒店さんで頂いた

諏訪の旨酒「真澄」である。

(純米吟醸、精米歩合55%、長野県産美山錦80%、

長野県産ひとごこち20%)

山廃でかつ、二夏越し。

酸味の中に感じられる、お米の香ばしさ。

穀物感は大好きなのだが、酸味がやや最後まで

残るところが若干気になる。

                                                 以上、今年のひやおろしの3、4本目の感想である。

慣れていたって初めての。

10月11日(土)。

先週お薬師様のお祭りに伺った羽村市の宗禅寺で

坐らせて頂いた。

坐禅会の参加は、

南禅寺、建長寺に続き3か所となるが、

地域の方を中心に、年齢層に拘わらず皆さんとても

自然体で慣れておられる、大人な感じの会であった。

                                                     3年間続けてきたが、初めての経験がいくつかあった。

まずは、経品(きんひん)。

舞台で言えば、幕間に、体をほぐす目的で堂内を皆で歩く。

確かにほぐれたが、しびれが切れていたらと思うと・・・

                                                          次に、五体投地の礼拝。

膝、腹、胸、面、頂を畳に着けて礼拝する。

南禅寺の老師様のその姿を見たことしかなかったので、

その時のイメージでやってはみたが、

はるかに皆さんよりペースが遅く、

あんなんでよかったのかなぁ、と少し心配だ。

                                                     終了後には、お抹茶とお菓子を頂戴したが、

皆さまに自己紹介の時間も頂いた。

和やかな雰囲気の中、

皆さまに温かく迎えて頂き、嬉しい限りであった。

                                                           しかし、しっかりと坐ったおかげで、体調がよろしい。

緊張感もあって、案外良い坐禅ができたのかもしれない。

                                                                  これからの季節、京の東山も、鎌倉も十分に寒かったが、

羽村も余程寒いのだろうと思うと、武者震いが来た。

                                                     ご住職様は、

「他に行ってもいいんだから」と優しく言われたが、

羽村の寒さの中を経験してみたいと、

体が言ってきかないようです。

2009年10月 5日 (月)

秋祭りと建長汁(けんちんじる)

10/3(土)。

羽村市にある宗禅寺の薬師如来大祭に

参加させて頂いた。

                                                     お薬師様の前で、

大きな数珠をご住職をはじめ、皆さんと回した。

お題目を皆で唱えながら皆で回した。

なんだか病気になんかならない気がしてきた。

                                                     その後は、お薬師様からのプレゼントである、

けんちん汁を頂いた。

うまかった。

熱々だった。

味が具の芯まで沁みていた。

                                                     けんちん汁の発祥は、建長寺である。

典座の雲水さんが豆腐を落としたことから始まった。

                                                     ご住職様は、建長寺の宗務総長でもいらっしゃる。

一緒に焼きそばを頂いた。

薬師講の皆さんの手作り焼きそばだ。

これまた、うまい。

禅宗のお寺での秋祭りは始めての体験だったが、

なんだかすかっとしている。

坐った後のようなすっきり感がある。

                                                     この感じはきっと、ご住職のお人柄なのだろう。

来週の土曜日はここで坐らせて頂くことにした。

                                                      このご縁を頂戴したのは、南禅僧堂の老師さまの

おかげである。

合掌。

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