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2008年9月21日 (日)

「超克」か。

ちょうど昨年の今頃読んだ、

波頭亮さん茂木健一郎さんの対談

『日本人の精神と資本主義の倫理』(幻冬舎新書58)

を読み返してみた。

                                                 まえがきの1ページ目から、茂木先生の

格好良い言葉が目に飛び込んできた。

                                                     「怒りはそのままでは建設に通じず、

愛に変容してこそ社会のためになる」

                                                そして、その

「怒りとは、差異に対する感覚の表出である。

・・・現実と理想の間の距離が埋めがたい

ものに思える時、怒りが生じる。」と。

                                                     ここで「理想」と聞いて、

漱石が講演『文芸の哲学的基礎』の中で、

                                                「理想とは何でもない。

いかにして生存するがもっともよきかの問題

に対して与えたる答案に過ぎん」

                                                 「文芸は感覚的なある物を通じて、

ある理想をあらわすもの」

                                                 「この理想を実現するのを、人生に触れると

申します」

と言っていたことを思い出した。

[→2008.9.7記事参照]

                                                一方、波頭先生は同書の中で、

「プロフェッショナル」について、

カネを稼ぐかどうかという点がその本質的要件

ではなく、

それ以上に、「公益性」、「使命感の有無」という

方にこそ本質があると言う。

言い換えれば、「ノーブレス・オブリージュ」である。

                                                 こうなると、さらに思い出すのが、先般読んだ

チクセントミハイ教授の

『フロー体験とグッドビジネス』(世界思想社、2008.8)

である[→2008.9.15記事参照]。

                                                そこで先生は、

ビジネス組織の中で従業員にフローが生じるための

重要な要素として、リーダーのビジョンに、

「可能なかぎり最高の仕事をすること」

「人類と環境を救うこと」

「宇宙の意志に従うこと」

の一つが必要であること。

                                                そして、

「組織は組織そのものを超えた意志をもっており、

他のシステムを救うため・・・に手を差し伸べる。」

というが、

これこそまさに、公益性と使命感の有無である。

                                                以上を総合すれば、

文芸を含む芸術だけではなく、

ビジネスにおいても、

常に、目先の利益のみに囚われることなく、

全体感の中での理想を持って、

その上で現状に対する怒りを持って、

それを愛情に変えて、

仕事に没頭することが世の中のためにも、

会社のためにも、

自分の成長のためにもなるのだ

という結論が出る。

                                                     と、格好つけて書いちゃうことは簡単なんだが・・・

                                                 きっと、同書の中で茂木先生が引用していた

小林秀雄の言う「超克」ということは

そういうことなのかもしれない。

あきらめずに、くじけずに、

実践あるのみということか。

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